「親の心、子知らず」(3)
子供の心に寄り添いにくい理由は、まだあります。
目線の違いです。
私達は自分目線で見ています。
「子供に寄り添いたい」という思いがあっても、
まずは自分の目線で見ます。自分の目と自分の脳ですから。
小さなことで、感情を乱している子供を見ると
親としては不憫に思え、早く
解放してやりたくなります。
「子犬やねんから、怖くないやん。かわいいやん」
「シャツなんか、どっちでもいいやん」
「オモチャくらい、貸したったらいいやん」
大人の視点と、子供の視点では、
経験や知識の差もあるので、
見方が違って当然です。
目線の違いは価値観の違いでもあります。
自分の目線は大切です。
それと同様に、
子供にも子供の価値観があり、
子供の目線も尊重される必要があります。
価値観の違いは、
押しつけて解決させるものではありません。
解決といっても
「その場が何となく収束したように見える」
という解決にしかなりません。
親はすっきりしても、
子供は、心の中のモヤモヤや不信感が残ります。
子供が「オモチャくらい」と思っていたら、
お友達に簡単に貸せるわけです。
貸したくないという事は、
それまで別のオモチャで遊んでたとしても、
現時点ではそのオモチャが大事なんですよね。
親の目線から見て、それがどんなに滑稽に見えても、
子供の見えている世界まで腰を落とし、
「貸したくない」という目線で見てみましょう。
もし、理解しきれなくても、
「この子には、そう見えるのか」とまでなら
理解できると思います。
そうしたら、それを言葉で伝えてあげる。
「○○ちゃんは、貸すのが嫌なんだね」
言葉にしてもらえると、
感情は落ち着きやすいです。
「困ってる子供の心を楽にしてあげたい。」
そういう思いは、
子供の価値観を塗り替えようとする言葉ではなく、
子供の価値観をまずは認めようとする言葉で
届きます。
感情を否定されたり、無視されると、
意識に上がらなくてもショックを感じます。
ショックの状態で、
その後どれだけいい事を言われても、
子供には届きません。
「子供の心を楽にしてやりたい」なら、
子供の感情を認める言葉を、言ってあげましょう。